朝ドラ「あんぱん」では松嶋菜々子さんが演じているやなせたかしさんの母・登喜子さん。
その、存在感の大きさに度肝を抜かれている視聴者も多いのではないでしょうか。松嶋菜々子さんの女優としての凄さに加え、やなせたかしさんの母・登喜子さんの凄さに圧倒されている視聴者も多いのでは。実際の登喜子はどんな人だったのでしょうか。そしてやなせたかしさんにそして彼の作品にどんな影響をあたえたのでしょうか。
華やかで愛情深い母・柳瀬登喜子の生涯
やなせたかしさんの実母・柳瀬登喜子さんは、高知県の大地主の家に生まれ、
高等女学校に進学した才女でした。華やかで社交的な性格で知られ、
在学中に一度結婚するも離婚し、後に東京朝日新聞記者の柳瀬清さんと再婚。
二児をもうけましたが、夫の急逝により高知に戻り、琴・茶道・洋裁などを
活かして家計を支えました。
派手な服装と香水を好み、田舎では目立つ存在でしたが、誰とでも親しくなれる人柄でした。
しつけには厳しくも愛情深く、やなせさんに大きな影響を与えました。
その後登喜子さんは再婚し、やなせさんは伯父に引き取られて育ちました。
やなせたかしさんと共に過過ごした時間は決して長くはなかったものの、
彼の生き方や作品に多大な影響を与えました。
やなせたかしさんに影響を与えた実母・登喜子さんとは？
彼の実母・登喜子さんに焦点を当て、やなせさんにどんな影響を与えたのかを探ります。
1. 母はどんな人？華やかさと社交性――「目立つことを恐れない心」
やなせたかしさんの実母・柳瀬登喜子さんは、
当時の田舎では珍しいほど洗練された女性でした。
香水を身にまとい、派手な服装を楽しむ彼女の姿は、
周囲でもひときわ目立っていたそうです。
その「堂々とした生き方」は、幼いころからやなせさんの
心に強く刻まれていました。
人と違うことを恐れない。
自分の感性を信じる。
そんな精神は、後のやなせさんが「アンパンマン」
とい独自の世界観を作り上げる礎となったのです。
目立つけれど憎めない存在――柳瀬登喜子さんの魅力
やなせたかしさんの母・柳瀬登喜子さんは、派手な服装や香水を好み
、華やかな振る舞いで田舎ではかなり目立つ存在でしたが、
その一方で社交性が非常に高く、誰とでもすぐに親しくなれる性格だったため、
近所の人々からは親しみを込めて受け入れられていたようです。
見た目の派手さが一部の人に違和感を与えることがあったかもしれませんが
、茶道や生け花の教室を開き、地域の女性たちと交流する中で信頼を
築いていったと考えられます。
つまり、「目立つけれど、憎めない人」「華やかだけどしっかり者」
というような評判だったのではないでしょうか。
2. 芸術的な素養――「表現する喜び」を教えてくれた母
登喜子さんは、琴、三味線、生け花、茶道、洋裁など、
さまざまな芸術に親しんでいました。
これらを単なる趣味ではなく、
家計を支える仕事にまで高めた努力家でもありました。
そんな母のもとで育ったやなせたかしさんは、
自然と「美しいもの」や「表現すること」
魅力を感じるようになります。
やがて彼は、
- 絵本作家
- 漫画家
- 作詞家
- デザイナー
と、幅広いジャンルで才能を発揮。
その原点には、母親が作ってくれた「芸術の土壌」があったのです。
3. 厳しさと愛情のバランス――「やさしく、でも強い心」
登喜子さんは、やなせたかしさんに厳しく礼儀作法や勉強を教える一方で、
映画に連れて行ったり、病気のときには励ましたりと、たくさんの愛情も注いでくれました。
この「厳しさと優しさのバランス」を学んだやなせさんは、
ただ甘やかすだけではない、本当の意味でのやさしさ――
困っている人に寄り添い、時には正しい厳しさをもって助ける――
そんな精神を作品に込めるようになります。
アンパンマンが、ただ優しいだけでなく「困っている人のために勇気を出して戦う」存在であるのは、
まさにこの母から学んだ心の反映といえるでしょう。
やなせたかしさんに影響を与えた実母・登喜子さんとは？母・登喜子さんから受け継いだ宝物
やなせたかしさんは、実母・登喜子さんから
- 自分らしく生きる勇気
- 芸術への感性
- やさしく、でも芯のある心
を受け継ぎました。
華やかで、社交的で、芸術を愛し、厳しくも温かい母。
その姿は、やなせたかしさんの根っこに深く刻まれ、
「アンパンマン」のやさしい世界を支える力となったのです
やなせたかしさんと母・登喜子さん──映画館で育まれた想像力
幼い日の思い出――母と映画館へ
やなせたかしさんがまだ少年だったころ、
母・登喜子さんはたびたび彼を映画館に連れて行きました。
当時、映画は最新の娯楽であり、地方ではまだまだ特別な存在。
そんな中で、母と一緒に暗闇の中、スクリーンいっぱいに
広がる夢の世界を眺めたことは、
やなせさんにとって何よりの楽しみでした。
とくに心に残っているのは、ディズニー映画などの
アニメーション作品。
現実ではありえない世界が、まるで本当に生きているかのように動き、笑い、泣く──
その体験は、幼い心に「想像力の火」を灯しました。
母がくれた「自由な夢」
映画を見た帰り道、
登喜子さんはいつもたかし少年に「どうだった？」「どんな場面が好きだった？」と
問いかけました。
無理に答えを押し付けることはありません。
子どもなりに感じたことを大切に受け止めてくれた母。
これが、やなせたかしさんにとって
、
「自由に感じること」「自由に表現すること」のはじまりだったのです。
やなせたかしさんがが後に、型にはまらない独自のキャラクターたちを生み出せたのは、
この母との対話が心に根付いていたからかもしれません。
アンパンマン誕生秘話と母の影響
実は、「アンパンマン」が最初に世に出たとき、周囲からはあまり歓迎されませんでした。
「顔をちぎってあげるなんて気持ち悪い」と批判されたこともあります。
それでも、やなせたかしさんはあきらめませんでした。
なぜなら、
「困っている人を助けるのは当たり前。理屈じゃない」
という母から学んだ心があったからです。
おなかがすいた子に自分の顔をちぎって与えるアンパンマン。
その「無償のやさしさ」は、まさに母の愛そのもの。
どんなに笑われても、批判されても、
「正しいと思うことを貫く」強さは、
登喜子さんが幼いころから見せてくれていた生き方と重なります。
まとめ──母との思い出が、やなせたかしさんを作った
- 映画館で見た夢の世界
- 自由に感じ、自由に語る時間
- 愛され、そして時に厳しく育てられた日々
やなせたかしさんの心の深いところには、いつも母・登喜子さんがいました。
そしてその母の愛が、
いまも世界中の子どもたちを励まし続ける「アンパンマン」という形で生き続けているのです。
「母に捨てられたと思った日」ー やなせたかしと心に生きる母の記憶
その後、登喜子さんは再婚。家庭の事情が大きく変化し、たかしさんは伯父・柳瀬寛さんに
預けられることになります。これは事実上、母との別れを意味しました。
やなせさんはこの出来事を「親に捨てられたような気持ちだった」と回想しており、
幼い彼の心には深い孤独感と寂しさが残ったのです。
この母との離別は、やなせさんの心に大きな影を落としましたが、
同時に人の痛みや哀しみを理解する感受性を育むきっかけともなりました。
やがてそれは、彼の創作活動において「正義とは愛である」というテーマにつながっていきます。
別れがくれた優しさー やなせたかしと母・登喜子の絆
この母との離別は、やなせさんの心に大きな影を落としましたが
、同時に人の痛みや哀しみを理解する感受性を育むきっかけともなりました。
やがてそれは、彼の創作活動において「正義とは愛である」というテーマにつながっていきます。
それでも、母との心のつながりは決して途切れることはありませんでした。
登喜子さんの華やかさ、強さ、そして優しさは、たかしさんの人格形成に大きく影響を与え、
彼の描く世界観の根底に流れ続けました。
やなせたかしさんの人生における“母との別れ”は、喪失と再出発の象徴でした。
そしてその別れがあったからこそ、彼はより深く「優しさ」の意味を知り、
それを作品として形にすることができたのかもしれません。
